泡立つ夜半

芹沢きりこ

作品

作品集『tiny tales』

あらためて、小さな絵の作品集をつくりました。 ぽつぽつと旅立っていて嬉しいです。 表紙には素朴な風合いの生成り色の紙を、中身には少し厚みのある触り心地のよい紙を選びました。 物として持っていたいものを作りたくて、ふたりでたくさん悩んだところ。…

親しいくらやみ

私のなかに棲む暗闇は臆病で、あたたかい手のひらに撫でられている間だけ静かに眠っていてくれる。 野良犬みたいな嗅覚で、自分を決して消そうとしない人間を嗅ぎ分ける。 「わからないけど綺麗だと思う」と言われた時、泣いたのは彼女だった。 噛みつかなく…

wandering

"wandering" 297×420mm木製パネル、アクリルガッシュ 2021.4 Aちゃんに ✴︎ とても久しぶりの友人から、自分への誕生日プレゼントにとオーダーをいただいて描いたもの。 「今はまだそいつを自分に重ねるのか愛でる対象とするのかわからないけど、世界に動物を…

ザラメの砂漠3(4)

甘い魚 2019 / 380×455mm 絵を描く時は感情だったり記憶だったり自分の内側にあるものを起点にすることが多いのですが、これは物語をつくろうと思って描きました。 今までなんとなく嘘のような気がしてしまって避けていたけど、ただ優しくて可愛い絵にしたか…

ザラメの砂漠3(3)

月の夜に 2020 / 210×150mm 好きな女の子とのデートの日、お土産に連れて帰ったフェーヴがモデルです。 小さなものたちがひしめき合う3階建てのアンティークショップの中でも、特に小さな彼らが集められたその一角にずいぶん長い時間いた気がします。 絵の具…

ザラメの砂漠3(2)

天使の休息所 2020 / 100×148mm 初めて高崎とHevenly Coffeeへ行った日の絵日記です。 3月のよく晴れた日でした。 車窓の向こうの山なみや光が波打つビニールハウス、ピスタチオアイスクリーム、硝子の食器、大きな窓、チューリップ、テリーヌショコラ、シャ…

ザラメの砂漠3(1)

Hevenly Coffeeさんでの個展が終了し1週間が経ちました。 展示作品すべて旅立つことになり、今はちょうど受け渡しの真っ最中。 報告とともにいただいた言葉や、絵が飾られた部屋の写真にほろほろとしています。 居場所が出来てよかったね、の気持ち。 観てく…

21/24

21歳と24歳の分身と部屋 ダンボール、アクリルガッシュ、水彩色鉛筆 金木犀の降る朝 / 2016 君影草 / 2020

くらやみの先へ

くらやみの先へ 文 中澤萌音 絵 セリザワキリコ -------------------- くらやみをおそれる なにかに引きずりこまれそうな 飲みこまれそうな気がする にぎやかな街 日差しがふりそそいでいる 笑い声 車のクラクション 雑音でみちている そんなとき ビルとビル…