泡立つ夜半

芹沢きりこ

ザラメの砂漠3(1)

Hevenly Coffeeさんでの個展が終了し1週間が経ちました。

 

展示作品すべて旅立つことになり、今はちょうど受け渡しの真っ最中。

報告とともにいただいた言葉や、絵が飾られた部屋の写真にほろほろとしています。

居場所が出来てよかったね、の気持ち。

観てくださった方、選んでくださった方、本当にありがとうございました。

 

温度が遠くなる前に作品についてのエピソードを残しておこうと思います。

展示自体や場所についても書きたいことがたくさんあって、またあらためて...きっと近いうちに...。

 

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heavenly

2020 / 330×455mm

 

店名の由来を聞いて、天国について話したことを考えながら描きました。

楽園、たまゆら、境界が溶ける場所。

光と闇、昼と夜、空と海、星と花、すべてはすべてを含んでいる、というような。

テイクアウトのカップスリーブに使われている、天使のスタンプがモチーフになっています。

 

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そばにいて

2020 / 315×410mm

 

言葉への執着が人一倍強い分、言葉ではない場所で通じ合うことへの憧れがいつもあります。

静かに寄り添う、あたたかくやさしい獣。

疑いのない、光を受けた水溜りのような瞳にうつる自分が鏡の中よりも澄んでいること。

いつか神様みたいな大きな犬と暮らすのが夢です。

 

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アパートメント

2017 / 182×257mm

 

今回の展示では1番古い作品。

当時住んでいたアパートは気が遠くなるような坂の上にあり、とても静かでどこか世界から切り離されたようでした。

巣づくりのように小さな部屋に小さなものを集めているのは今も変わりませんが、さまざまな場所からそれぞれの物語を連れてやって来た同居人たちの絵です。

 

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彗星の車窓

2020 / 220×273mm

 

昨年末この場所で開かれた朗読会、"Mångata"へ。

愛美さんの言葉に絵を描きました。

 

"どこまでも運んでくれる列車の座席に腰掛け 

ただじっと 窓の外を眺めている

まるで子供のように感動しながら

流れていく光は彗星 私はそれに触りたい

透明な硝子板を打ち破る

青い光にいた私と 青い光にいたあの人は

何も隔ってはいなかった"

( 南雲 愛美 )