泡立つ夜半

芹沢きりこ

雑記

祈りの習慣

初めての駅で昼食を取るために近くの喫茶店へ入った。 テーブル席がひとつとカウンターだけの、年季が入った小さな店だ。 カウンターの端には常連の老婦人がふたりいて、女主人とも知り合いらしい。 2席間を空けた反対の端に通されてオーダーを済ませるとう…

光の溜まり

偽物のステンドグラスが落とす影、足もとで揺れる光の溜まり。 取り留めのない光景のなかのささやかな幻想に見惚れて、下を向きえんえんとひとりで遊ぶ女の子。 彼女がとても親しく思えて抱きしめたくなる。 たとえば絵の具に触っている時間。 無意味で静か…

皮膚の辞書

夕方初めて外に出て、駅から公園へと伸びる川沿いの道を歩く。 高校生の頃夢中になった、歌のない音楽を聴きながら。 エモいって言葉の意味を97%くらい解っているつもりでいたけど、最近はうまく思い出せない。 頭より肌で意味を知る種類の言葉は触らないと…

一目惚れして一旦やめて、やっぱり買いに行ってしまったコート。 そのあと間もなく今まで毎日着ていたものの裏地が破れた。 やたらと意味を感じ過ぎても生き辛いけど、運命と思うようなタイミングはままあって。 選んだことに自信を持てと言われているような…

師走

気付けば12月。 思い立ったのは今年何度目かわからないけど、また懲りずに日記を書きます。 新しい仕事が始まって1週間と少し。 覚えることが山積みで忙しいけど、靄のかかった開けない期間が長かったから、明確にやるべきことがあるというのはとても健康な…