泡立つ夜半

芹沢きりこ

一目惚れして一旦やめて、やっぱり買いに行ってしまったコート。

 

そのあと間もなく今まで毎日着ていたものの裏地が破れた。

 

やたらと意味を感じ過ぎても生き辛いけど、運命と思うようなタイミングはままあって。

 

選んだことに自信を持てと言われているような、もう戻れないぞと言われているような。

 

リボンの編み込まれた大きなボタン。

好きなものがわからなくなっていたけど、そう変わってはいないみたいだ。

 

 

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何周も考えて考えてとっくに納得したつもりの選択たちは、繋げて話せば自然だったと思えても、通過点で出会ったものを愛していても、摘んで話すにはネガティブな響きでいつも自己紹介の会話に詰まる。

 

家庭の戦争を言い訳にしたくないけど、辿れば想像以上にすべての起点はここで隠そうとすればどうしても不自然になる。

 

何かを手に入れたいというよりも何かを解決したい気持ちで走り続けて、目的地の見えない足跡はひどく歪だ。

 

逃げるのだってエネルギーが必要で、サボって生きてたわけじゃないんだけどな。

 

その理由をうまく説明出来ること。出来ればむしろ説明しなくてよい方法。

 

リセットボタンは何処にもないし、遅過ぎることはたくさんある。

 

軌道修正じゃなくてまっさらに始めたい。

今までを肯定するためにちゃんと過去にしたい。