泡立つ夜半

芹沢きりこ

青い野を歩く

主人公を「きみ」と呼ぶ語り手は物語の外にいて、淡々とした記録のような描写から感情らしいものは見えない。 誰というわけでもなく、作者とも読者とも違うひとつの視線。 この慣れない感覚にどこかで出会ったような気がして、あ、と思う。 何度も反芻して、…