泡立つ夜半

芹沢きりこ

日記

熱伝導率

インスタントコーヒーを溶いたスプーンを差したまま、マグカップに口をつける。 一瞬頬に柄が触れて、ちり、とした刺激が走る。熱い。 「シルバーは熱の伝わり方がとても美しいのですよ。」 吉祥寺のはずれ、半地下のアンティークショップで魔女のような店主…

林檎と胡桃

帰り道、コンビニの店先に小さなテント屋根の張られた青果コーナー。 この間まで柿が並んでいた場所でつやつやと光る苺を横目に見ながら、いつも通りの林檎を買う。 風邪が流行っているらしい。22:30。 休み毎何かしらの手続きに奔走する数ヶ月にようやく終…